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以下に掲げるのは、DBTの文書から、コンセンサスの意味と政治との関連を述べた部分を抄訳したものである。 『まず第1に、政策策定・決定者が、よそでは得がたい情報を提供できる。日々のマスメディアが大量に流す情報の中心は「対立型論争」なので、「われわれは、どのようにコンセンサスに達することができるか」という情報は貴重になる。コンセンサス会議は、けっして政治的プロセスのショートカットをしているわけではなく、政治的プロセスの外側のコンセンサスを促進しているという意味において、政治的プロセスを豊かにしているといえる』。

『コンセンサス会議は、政治に対する直接のリンクは持たないものの、前述したように、結果として大きな政治的影響力を及ぼしている。それはなぜか。

 第1に、コンセンサス会議で市民(レイパネル)は、ビジョンや原則などの明快なゴールセッティングをするため、政治家は有権者へのアピールとしてそれを利用しやすい。第2に、コンセンサス会議の「実用的な倫理」という側面。真に民主的なプロセスは「倫理」を生み出すという理解から、コンセンサス会議の結果は、「公衆の倫理的代表意見」とみなしうる。また、コンセンサス会議のテクノクラシーの対抗としての機能がある。専門家は、ときには「専門家」としてよりもむしろ「政治家」として、自らの能力を超える問題に対しても、過剰に解決策を模索する傾向がある。そうした「政治的」専門家よりも、市民からの率直な社会的問題の提起の方が、政治家にとっても信頼できる。

 また、コンセンサス会議のプロセスは、本質的に「政治的アピール」である。独立した一人一人の市民からなる「レイパネル」の結論は、バランスオブパワーによるものではなく、対話の結果である。このことは、このプロセスが、一つのデモクラシー空間を形成していることを意味するため、政治的アジェンダとして、取り上げやすい』。


コンセンサスを生み出す一般市民は市民の代表か?
 しばしば「コンセンサスを生み出す一般市民(市民パネル)は市民の代表か?」と質問される。市民、あるいは国民の代表ということであれば、それは国会議員であり、コンセンサス会議で主役となる市民たちは市民の代表ではない。また、コンセンサス会議は、投票でもなく、世論調査でもなく、サンプル調査でもない。では、市民パネルは一体、どのようなグループなのだろうか。別の記事[デンマーク方式のコンセンサス会議とその標準的手続き]に、どのように市民が選ばれるかを紹介したが、彼らは、さまざまな属性(性別、年齢、職業、住んでいる所、学歴)を持った人々である。こうして、コンセンサス会議は、多様な市民(異なるバックグラウンド・異なる価値を持つ人々)が集まったとき、一体どのような議論がなされ、どのような合意に達することができるかを示す機会となるのである。そして、ここで得られた議論・結論(コンセンサス)が、広く市民・国民の議論のモデルとなり、さらには、政策の形成や決定に影響を及ぼすことが期待されるのである。

世界に広がりつつあるコンセンサス会議の試み

 コンセンサス会議という方式は90年代に入って、ヨーロッパを中心に広がり始めた。いくつかの国の試みを挙げておこう。イギリスでは、94年に植物バイオテクノロジーについてのコンセンサス会議をサイエンス・ミュージアムが中心となって開催した(資金提供は農業・食料研究評議会)。オランダでは、コンセンサス会議方式を取り入れた「科学と倫理を考えるためのプラットフォーム」が1994年4月に設立された。ノルウエーでは、1996年10月に、遺伝子操作食品をテーマとしたコンセンサス会議が開かれた。主催したのは教育・研究・教会省の下にある医学、科学技術、人文・社会科学の研究倫理を扱う三つの委員会である。アメリカでは、97年4月にロカ研究所のRichard Sclove らが「情報社会を考えるコンセンサス会議」(テーマ名:電気通信と民主主義の未来)をボストン地区で開いている。スイスでは、1998年5月にベルンで、スイス科学評議会(政府の科学諮問機関)のテクノロジー・アセスメント局によって「原発のモラトリアムに関係して電力生産・消費」をテーマに開催された。なお、この会議は3つの言語を使って行われたというから驚きである。フランスでは、1998年6月、遺伝子操作食品をテーマに開催された。韓国では、韓国ユネスコ協会が中心となって、遺伝子操作食品をテーマとしたコンセンサス会議を1998年11月に開催した。その背景には、97年にユネスコが採択した「ヒト・ゲノムと人間の権利宣言」がある。

 99年に向けて、カナダ、オーストラリア、イギリス(第2回、テーマ:放射性廃棄物)などでコンセンサス会議が計画・準備されている。




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